アルパというスペイン人によって伝えられ、ラテンアメリカではポピュラーな竪琴を弾く弱冠18歳の上松美香がデビューアルバムをリリースした。
　世界的なフェスティバルで日本人アルパ奏者として南米ではすでにマスコミでもとりあげられるほどの注目株。
　その上松美香にアルパの魅力と将来の夢を語ってもらった。

　「クリッ」とした大きな瞳がまぶしい。アイドル性たっぷりのルックスと、卓越した演奏技術で、アルパの本場、南米で人気をさらったのもうなづける。
　「母の弾くアルパの音色にすっかり魅了されて始めのが12歳。それからずっとアルパ一筋の人生なんです」
　中学卒業後、いったん高校に進学したものの、どうしてもアルパの本場ベネズエラに行きたいと両親に相談。入学してすぐに２カ月の留学をしてしまったほど。
　「本場のアルパを生で聴くのも見るのも初めての体験でカルチャー・ショックでした。その時、初めて半音を出す方法も知ったくらい日本ではまだ未知の楽器だったんです」
　帰ってくるなり、あっさりと高校を自主退学、自宅でアルパ演奏に打ち込む日々が続いた。
　その甲斐あって、昨年12月「第２回全国アルパコンクール」で優勝した後、優勝のご褒美としてメキシコで今年５月開催された、「ラテンアメリカ・アルパ・フェスティバル」に参加。本場でコンサートを行い大成功を納めた。地元のテレビや新聞でも報道され、ベラクルス芸術大学より、アルパのマエストラの称号を認定され、賞状を授与されたほど。
　「アルパの魅力は何よりも、グランドハープにはない、ラテン的なカラッとした明るく澄んだ音色。元気がでるんです。そして、楽譜がない伝承音楽なので、一人一人の演奏やアドリブがあること」
　今回リリースされたデビューアルバム「ＩＮＯＣＥＮＣＩＡ」でも、全曲上松本人の作曲、編曲による。
　「曲はすべて耳でコピーして、後で楽譜を見て確認するだけです。オリジナルも楽譜から描くのではなくて編曲家の兄と一緒にアドリブしながら作っていくんですよ」と、ニッコリ。
　収録されている「天使のささやき」は13歳で初めて本人が作曲した作品だ。
　自宅は長野県安曇野の穂高町。北アルプスを背に田園風景が広がる大自然の中で生まれ育った。
　「田んぼも畑もあって、自給自足のような生活なんです。とてもいい所なんですよ」
　アルプスの麓で竪琴を弾く少女――
　まるで、童話の世界のようである。
　「日本では、まだまだ知られていない楽器なので、日本中の色々な場所でコンサートを開いて多くの人にアルパを知ってもらいたい。そして夢を与えられるアルピスタになりたいですね」
　２年後にはスイスで開催される「世界アルパフェスティバル」に出場する。