写真のとおり、奇抜なファッションと70年代ダンス・クラシックを空耳風の日本語歌詞に訳して人気急上昇中のダンス★マンに会った。
　郷ひろみ、モーニング娘。への編曲も手がけ、今年のレコード大賞編曲賞にも輝いた注目株だ。
　そんな彼に、ダンス・クラシックスの魅力、空耳歌詞の真意と苦心ぶりを聞いた。

　自称「ミラーボール星人」というダンス★マン。
　「僕が地球に来て初めて地球人の友達に連れて行かれたディスコで聴いた70年代のダンス・クラシックスに衝撃を受けて……地球にはこんなにすばらしい音楽があったんだと知ってからダンス・クラシック一筋で…そのうち地球人の友達と自分たちで演奏したくなって…」
　と、まあ徹底してダンス★マンとしてキャラクターを演じる。その生真面目さとシャイな性格の裏返しとして、私生活でも奇抜なファッションのままだという。
　「どうも、今だに僕とパパイヤ鈴木さんとを混同している人がいるみたいで、お互いもっと頑張らなくちゃいけないね、なんて話しています」と、自嘲気味だ。
「本当に普段から電車に乗る時も、コンビニに買い物をするときもこの格好です。とにかく、ブラック・ミュージックへの尊敬の念を僕なりに表現しているつもりなんですが、普通の人から見れば絶対に目を合わせることもイヤで近寄りたくないタイプですよね」。
　が、質問には一生懸命答えてくれる。
　「こんな格好していますから、ものすごく安易にみられがちで誤解を解くのに大変なんです。けっこう苦労が多いんです」
　だったらやめればいいのだが、そこがダンス★マンとしての譲れない価値観なのだろう。
　英語のオリジナル歌詞の発音に似た日本語を空耳風に日本語歌詞として歌い独自のスタイルを確立した。
　ダンス★マンにかかればアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「セプテンバー」が「接吻のテーマ」になり、カール・カールトンの「シーズ・ア・バット・ママ・ジャマ」が「背の高いヤツはジャマ」となる。
　「ブラック・ミュージックを深く理解し自分なりに消化して表現していくためには日本語で伝えることが大切だと思っています」
　しかも、韻を踏み、歌詞内容もオリジナルに近づけようと努力している。
　「ただ、オリジナル楽曲の使用許可が下りないとせっかく苦労して書いてもボツですから、大変なんです。本当に非効率的な作り方をしていますよね」
　それでも、続けるエネルギーの根源は「一人でも多くあの70年代のダンス・クラシックのグルーヴ感、メッセージ、エネルギーを伝えたいからで、10数人編成のバンドとして活動を続けるには、全員バイトをしながらギリギリ。好きじゃなければできません」
　確かに、ライブで見せるダンス★マンとバックメンバーの迫力は凄まじい。演奏のうまさはもとより、２時間半まさに暴れっぱなしである。今やオリジナルよりオリジナルぽい演奏を聞かせてくれる。
　そんな、実力が徐々に話題になり、郷ひろみの「なかったことにして」やモーニング娘。の「ハッピーサマーウェディング」などの作・編曲を担当。その功績が認められ今年の日本レコード大賞編曲賞に輝いた。
　12月25日には、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのリードボカル、フィリップ・ベイリーと六本木ヴェルファーレで競演する。