エスカーゴ

九州のストリートから大和魂を引っさげ
　　　つわものふたりがデビュー！

　路上ライブ出身の男性弾き語りデュオがブームだ。19、ゆず、コブクロ、うたいびとはね、フリー・ジャズ等々、女性ポップシンガーたちの活躍する間隙をぬって、チャートをにぎわしている。
　そんな中、九州出身の気骨なサウンドを聴かせるエスカーゴが新たにデビューを飾った。
　元パンクバンドというユニークな経歴を持つふたりに、路上ライブとデュオの魅力を聞いた。

　「僕らは日本人ですから、英語でカッコつけようとは思わないです。大和魂を大切にしていきたい」（山本智幸）と、言えば、相方の野田智洋も「バンド出身ですから骨っぽい音が好きですね」と、続ける。
　アコースティックギターを抱え、フォーク調のメロディを奏でる、今までの男性デュオとは、明らかに一線を画している。
　4月25日リリースされたデビュー曲「六月のあなた」には、英語のカタカナ文字はひとつも登場してこない。サウンドもバンド仕立てのロック調だ。
　ふたりの出会いは、ストリート出身だけあって、野田が福岡市の公園でひとりライブをしているところを山本が見かけたのがきっかけだった。
　「その日は、住んでいた熊本からラーメンを食べにきただけ。でも、野田の歌声を聴いてその場でジャム・セッションを始めていた（笑）」（山本）
　その後、熊本でやる山本のライブに野田が加わりながら、結果的に山本が福岡の野田の部屋に居候して本格的なライブ活動をスタートさせた。
　「僕らにとって、路上は人生修行の場であって、発表の場でもある。ただ、ライブハウスでもお客さんが地べたに座ってしまうのが恥ずかしいんですよ（笑）」（野田）
　ファンも徹底したストリート出身ということか。
　デビュー前の博多駅前には、常時300人を超えるファンが彼らのライブに聞き入っていた。
　「僕らの最大の魅力はふたりのハーモニー。日本一で誰にも負けないと思っています」（山本）と、胸を張る。
　エスカーゴはかたつむりのエスカルゴに荷物のカーゴをドッキングさせた造語だという。
　「こつこつと地道に僕らのメッセージを運んでいきたい」（山本）と、目を輝かせる。

◆プロフィル◆ 　エスカーゴ（山本智幸＝１９７６年９月７日熊本県生まれ、野田智洋＝１９７４年９月９日宮崎県生まれ）１９９８年、福岡で偶然出会った山本と野田が意気投合してグループを結成。地元の路上ライブが評判になり２０００年11月上京。２００１年４月25日マキシシングル「六月のあなた」（キング）でデビュー。

◆こぼれ話◆ 　２人に会ったのは、デビューを間近に控えたある日。そのためか、少々緊張気味だった。元々、パンク・バンドをしていたという野田。そういう意味では１８０度の転換だ。しかし、やはりサウンドにはロック色があり、それがエスカーゴのカラーとなっている。ハーモニーでは誰にも負けないという言葉がうれしい。ハーモニーはメロディーに通じるわけで、つまり彼らは歌心を知っているということだからだ。