かけいとしお 筧利夫

少年時代、吉本新喜劇に影響
動きのルーツは間寛平

　今や映画、ドラマ、バラエティー番組と引っ張りだこの人気俳優、筧（かけい）利夫(39)が秋元康プロデュースでＣＤデビューする。
　お色気たっぷりのボーカルで共演したのは、藤谷美和子という豪華版。
　歌は初めてという筧に2枚目から3枚目まで自在に演じ分ける意外なルーツと夢を聞いた。

　「歌はまったく初めてでした」
　そう語る筧は、少し緊張気味。ブラウン管で見せるエネルギッシュな三枚目の表情とはかなり落差がある。むしろ、映画「踊る大捜査線ＴＨＥ　ＭＯＶＩＥ」で演じた本庁のキャリア組に近い。
　その筧が、つかこうへい演出の舞台「新　幕末純情伝」で共演した藤谷美和子(38)とタッグを組み、「シャバダ　ダバダ」で10月24日ＣＤデビューする。
　筧は藤谷のお色気タップリのボカールと掛け合う形で持てない男のナレーションを担当。
　しつこくお目当ての女性を口説くが相手にされず、逆切れして開き直るという、さえない三枚目を滑稽に演じる。
　「俺に歌わせたい内容がこういう事なのかなって思いましたけど、男なら誰でも少しは思い当たる内容ですね。私生活は、ここまで極端ではないですけどね（笑）」
　一転して、カップリング曲「お前にビリビリ」では初ボーカルを披露。
　「ディレクターから、二年ちゃんと続けてやれば、もっと上手くなるよ、なんて妙な励まされ方をされました（笑）」
　演技の幅広さのルーツを訊ねると、意外な答えが返ってきた。
　「子供の頃から見ていた吉本新喜劇です。特に間寛平さんにはかなり影響を受けました。自分の動きのベースになっている」
　サービス精神も旺盛で、「頼まれると断われない性格みたい」と頭をかく。
　以前は、やりたくない事はやらなかった、という筧だが、今は「全てがやってみたいこと。だから悩むことがなくなった」と言う。
　ＣＤデビューの話も、歌の制作現場に興味があったというのが、どうやら本音のようだ。
　「将来は、映画の監督や舞台の演出にも進出したいですね」と目を輝かせる。
　このナレーション・ソング、歌が苦手な人でも女性とデュエットできる格好の宴会ソングになりそうだ。

◆プロフィル◆ 　筧利夫（かけい　としお）１９６２年８月１０日、静岡県生まれ。大阪芸術大学舞台芸術学科卒業、８５年、第三舞台に入団。主な出演作は映画「踊る大捜査線ＴＨＥ　ＭＯＶＩＥ」「天国まで百マイル」９２年、ゴールデンアロー賞演劇賞、９３年、高崎映画祭最優秀新人賞受賞。０１年１０月２４日デビューＣＤ「ジャバダ　ダバダ」リリース。

◆こぼれ話◆ 　大学時代、少林寺拳法部に在籍していた筧。三枚目を演じる一面とは正反対の硬派の一面も持ち合わせている。初対面での挨拶の姿勢とこちらを直視する視線は武道を心得た人間のそれだった。実は非常にシャイな人物なのだろう。俳優として大成する人物が押並べてシャイというのは不思議なことだが、彼にもその要素が十分にありそうだ。