根本要（スターダスト・レビュー）

結成20周年、100曲ライブを計画

　『日本一のライブバンド』の異名を取る、スターダスト・レビューが、今年で結成20周年を迎えた。
　その節目の年に、インディーズ・レーベルを立ち上げ、夏には10時間に及ぶ遊びタップリの野外ライブを計画している。
　バンドリーダーで、軽快なトークでも人気の根本要(44)に、中年ロックバンドの生きざまと野望を聞いた。

　「僕らがバンドを続けているのは、ライブをやるため。バンドはユニットやソロと違って、楽器がありますから、やろうと思ったらその場でライブができます。それがバンドの魅了で強みなんです」と、屈託のない笑顔で語る。
　'81年のデビュー以来、メンバーチェンジは1回だけ。これまで、25枚のアルバムをリリースして全国で1370回のライブを行った。
　「とにかく、ＣＤが売れなくてもライブだけは精力的にやってきましたから（笑い）」
　とにかく全国訪れたことない都道府県はない。『日本一のライブバンド』の異名を取るゆえんだ。同世代のロックバンドが軒並みコンサート動員数を減らしている中で、唯一コンスタントに観客を動員できる、数少ないバンドでもある。
　「ただ、ＣＤが売れない！（笑い）　きっと、東京発信でテレビなどを中心にしたメジャー展開の売り方が、僕らのようなバンドには合わなくなってきたのかも。だったら自分らで独立してインディーズでやろうというのが発端だった」
　今年から、自らのインディーズ・レーベル「オーク・レコーズ」を立ち上げ、その第一弾のアルバム「ＮＯ　ＢＡＬＬＡＤＳ」を7月25日リリースする。
　アルバムは、この5月11日赤坂ＢＬＩＴＺでゲストにホーンセクションの「ＢＩＧ　ＨＯＲＮＳ　ＢＥＥ」を迎え、行われたライブを収録した全13曲のライブ盤。
　「僕らは別名『訪問実演販売バンド』ですから、ライブ盤はうってつけ。いちばん僕ららしいＣＤです」と胸を張る。
　8月4日には静岡県・つま恋多目的広場で、『つま恋１００曲ライブ』と銘打ち、10時間の野外コンサートを予定している。
　「この20年間で初めて我がままを言わせてもらいました。観客の動員数で話題になるのではなく、やっている自分たちがスゴイと思われるコンサートをしたかったんです。たぶん、スタッフに相談すると却下されると思ったんで、ライブ開場で100曲コンサートをやるって言っちゃいましたから、まあ事後承諾でしょうか」
　根本の言葉を借りれば『できちゃった結婚』ならず、『言っちゃったコンサート』だ。
　当日は、博多のラーメン、広島のお好み焼き、宇都宮の餃子、香川の讃岐うどんなど全国から名店も多数、全国物産展として出店する。
　全国でライブを続けてきた彼らならではの“味”な演出だ。さらに、弁当付きという念の入れよう。
　「まあ、当日は100曲演奏を目指します。できなかったら、1曲あたり100円を返金しますよ！」と、やる気満々だ。
　「僕らは多くを望みません。今日は明日よりちょっといい事を信じて、高い音楽性と低い腰で明日からも音楽を続けます」
　そう言う根本の人懐っこい笑顔の瞳は真剣で鋭かった。

◆プロフィル◆ 　根本要（ねもと　かなめ）。１９５７年５月２３日、埼玉県熊谷市生まれ。 　高校時代に、同級生の柿沼清史（ベース）とバンドを結成。その後、後輩を集めコミックバンド「アレレのレ」を結成。８１年第１８回「ＹＡＭＡＨＡポプコン」で準優勝。同年５月シングル「シュガーはお年頃」でデビュー。バンド名をスターダスト・レビューに改名。今年で結成２０周年を迎え、これまで、アルバム２４枚、シングル３７枚をリリース。８月４日、静岡県・つま恋多目的広場で『つま恋１００曲ライブ』を行う。（問）サンデーフォークプロモーション�рO５４（２８４）９９９９。開演午前１０時、終演予定午後８時。１万２０００円（小学生以下無料）

◆こぼれ話◆ 　とにかく、ライブで手抜きをしないのが、彼ら。かつてユーミンやエリック・ノラプトンの前座ステージをやっていた頃も、きっちりとお客のハートと目線を自分らに向けないと気が済まない。ライブをするためにバンドをやっている、という言葉どおり、日本一のライブバンドだ。