【野川公園・三鷹市】（2000.7.22スポーツ報知掲載）

　わき水スポットとして人気のある都立野川公園は、あの宇多田ヒカルが、通っていたアメリカン・スクールに隣接している広大な緑地帯だ。そういえば、某週刊誌に載っていた写真も同じような風景だった。今回は、その野川公園をのんびりと散歩しながら、わき水巡りをした。

　調布飛行場も近くにあり、どことなく日本離れした雰囲気だ。驚いたのは、駐車場の入り口にいた還暦を過ぎたと思しき係員が、「宇多田ヒカルはここには長く通っていたわけじゃないから」と、教えてくれたこと。

　これほど広い年代に名前を知られている10代の歌手は他にはいないだろう。さすが、長者番付に載るだけのことはある。

　それにしても、今日も暑い。車を降りて公園の中を数分歩いただけで汗が滝のように流れてきた。

　そこで、売店に寄ることに。すると、いい物を見つけた。カナダのミネラル・ウォーター、「ウィスラー・ウォーター」だ。

　これは氷河の雪解け水が伏流水となって採取された「うまい水」で、日本ではまだ珍しい品物。まさか、こんなところで出会うとは。何か幸先いいぞ。

　公園を横切るようにして通る東八道路を渡ると、公園の北側に出る。間もなく国分寺周辺から流れてくる野川が現れ、川には大きな鯉やカルガモ、アヒルたちがのんびりと泳いでいた。

　わき水のポイントは、この公園北側のどん詰まりに二ヶ所あって、大きな岩で囲まれた間から、こんこんと自噴していて、下流にせせらぎを作っていた。

　さっそく、汗だくの顔を洗う。火照った額がスーッと冷やされ、生き返った心地がする。そして、一口。

　口の中でころがすと、わずかなミネラル分があるものの、軟水のやわらかい喉越しだ。無色透明。都の水質調査でも良質なのだが、なぜか、立看板には飲用不適の文字が。

　後で、管理事務所の所員に尋ねたところ、「今は改善されましたが、以前水質が悪くなった時期があったから」ということ。

　水道の生水を飲むと必ず下痢をするのだが、この水を飲んでも腹は壊さなかったぞ。

　わき水地点周辺は、「わき水広場」になっていて、親子連れが水遊びや、レジャー・シートを広げて遅いランチを楽しんでいた。

　「たまに来ますが、ここは良いところですよ」と、子供を連れた美人ママがニッコリ。でも、水をくんでいる人は見たことがないとか。都会のわき水は、残念ながら、あまり信用されていないようだ。

【近くの遊びスポット】

園内には、ホタルを自然飼育している自然観察園があり、武蔵野の雑木林を保護、水路を渡る木道がまるで尾瀬沼のようになっている。また、事前に申し込めば無料で指定された場所でバーベキューもできる。（問）野川公園管理所�рO４２２（３１）６４５７。

【わき水の由来】

　武蔵野段丘の南縁にあたる国分寺崖線に接し、「ハケ」と呼ばれる崖下から野川沿いに多くの湧出しているわき水のひとつ。

【ひと言アドバイス】

　バーベキューの際には、わき水スポットまで少し距離はあるが、ぜひ公園の天然水で料理してみてはいかが？　水道で料理するよりは絶対に美味しくなるはずだ。

【お薦め度】