白鳥英美子

　98年の長野オリンピックをきっかけに、活動を再開した、トワ・エ・モワが、3年ぶりに新曲「ＹＡＫＵＳＯＫＵ―父に送る手紙―」を4日発売する。
　古関裕而音楽賞に入賞した心温まるバラードで、天国にいる父へ贈る実在の手紙が歌詞内容。
　ソロとしてアルバムもリリースした白鳥英美子(51)に、新曲誕生の秘話と、目指す歌とは、を聞いた。

　「歌のベースにあったのは、50代の女性から届いた実話の手紙でした」と、白鳥は説明する。
　平成3年から、福島市出身の作曲家・古関裕而を記念して設立された音楽賞のために、全国から寄せられた手紙の中の一通が目に止まったという。
　同音楽賞は四年に一度開催されるが、今回主催者側の強い要望で、白鳥はパートナーの芥川澄夫氏と共にトワ・エ・モワとして参加。
　「こんにちは、私の年下のお父さん」という書き出しで始まる、その手紙には、幼い頃35歳という若さで亡くなった父の写真を見て育った自分が、すでに父親よりも年上になったと記され、「明るく健やかに育ててくれ」と母親に言い残した、父の言葉通り、「足が不自由でも元気に生きています。天国では一緒に歩いてくださいね」と結ばれていた。
　「とても感動的なお手紙で、作詞を担当した芥川さんが、彼女への応援歌にしよう、と書いてくれました」
　「ＹＡＫＵＳＯＫＵ」というタイトルは、まさに父が残してくれた言葉への約束という意味が込められている。
　現在、同曲は「ＮＨＫみんなのうた」で全国でオンエアされているが、発売元のキングレコードに、問合わせが殺到中だ。
　「子供を育てられない大人が増えてきて、信じられない事件が起きています。どんな境遇でも凛（りん）として生きる女性の姿を描いたシャーデーの『パール』という曲を通して私の気持ちを訴えたかった」
　先行発売された、白鳥のソロアルバム「ビッグ・イエロー・ムーン」に、その「パール」は収録されているが、「ＹＡＫＵＳＯＫＵ」のテーマにも合い通じている。
　「流行を追うのではなくて、自分がいつも同じ場所で、同じ感性と気持で歌い続けていたら、いつか必ず人は、人生をぐるりと回って私の歌を聞いてくれる場所に戻ってきてくれると信じています。だから、私の歌はどんな年代の人にも聴いてもらいたい」
　穏やかな表情と口調の中に、筋の通った強さと優しさを感じた。

◆プロフィル◆ 　白鳥英美子。１９５０年３月１６日、神奈川県横須賀市生まれ。６９年、トワ・エ・モワとして「或る日突然」でデビュー。'７２年札幌冬季オリンピックのテーマソング「虹と雪のバラード」をリリース。'７３年グループ解散後、保育の勉強に専念。７５年ミュージシャンの白鳥澄夫氏と結婚。'７７年ソロシンガーとして再デビュー。託児サービース付のコンサートを開いて話題になる。‘９７年８月ＮＨＫ「思い出のメロディー」にトワ・エ・モワとして出演。その後グループを再結成。８月２５日千葉県長生村文化会館で、トワ・エ・モワとしてコンサートを開催。（問）ｅｓフェローシップ�рO３（３３７３）８７２３。

◆こぼれ話し◆ 　トーチュー7/2付け紙面では、結婚相手が白鳥澄夫氏ではなく、芥川澄夫氏になってしまっていた。整理部記者が勝手に書き換えてしまった結果ということが、後日わかった。白鳥さんには申し訳ないことをしました。担当デスクから、以後気をつけますという言葉をいただいていますので、ご勘弁を。