TOUL　TRAIN　１

　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　FROM 月刊歌ＢＯＮ（主婦と生活社）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　取材・構成　小林泰介

トーク・ライブ　真矢（ＬＵＮＡ　ＳＥＡ）

はーい、そうる透です!!　今回のスペシャルゲストは僕の愛弟子でＬＵＮＡ　ＳＥＡのドラムス、真矢くんの登場です。ほかでは絶対に聞くことのできない、僕と真矢の爆笑師弟愛、新婚生活、音楽談義などとっておきの話がオンパレード。夏休みスペシャルとして、今回はその前半を収録!!

真矢はそうる透ファミリーの血族です

そうる透（以下Ｔ）「ということで、皆さんお待たせしました。今回のゲストはLUNA　SEAのドラマー、真矢さんです!!」
真矢（以下Ｓ）「（さん付けで紹介されて）アハハハハ!!」
Ｔ「頭だけは一応ね（爆笑）」
Ｓ「ありがとうございます!!」
Ｔ「これは、あまりにも有名な話なんですが、僕と真矢は血族です」
Ｓ「はい!!」
Ｔ「うちの息子でございます」
Ｓ「はい。ありがとうございます」
Ｔ「当初からですね、こんなに育つとは思ってました」
（二人して大爆笑!!）
歌ＢＯＮ（以下Ｂ）「なんですか、それは？」
Ｔ「期待通りではないです。思ったとおりに育ちました」
Ｂ「最初の接点というのは？」
Ｔ「それは真矢からのラブコールだったんですよ」
Ｓ「僕は高校の時からドラムスクールへ行ったんですけど」
Ｔ「この話がまたサイコー（笑）」
Ｓ「ええ、３回くらい行ったんですけど（笑いが止まらない）」
Ｔ「本当にうれしいことなんですが、真矢は僕になりたかったんですよ。
でも、学校ではなかなかそうもいかないことが多くて。それは、真矢に
とっては不本意ですよね。で、３回来てやめちゃったんです（笑）」
Ｓ「１回につき一言くらい喋らせてもらって、それだけで、『うれしー!!』と
いう感じでしたね（爆笑）」
Ｔ「そうこうしているうちに、まだLUNA　SEAの母体ができあがるころだ
ったんですけど、お互いの知り合いを介して正式な形で僕のところへ
勉強をしにくるわけですね」
Ｂ「真矢さんはお幾つの時だったんですか？」
Ｓ「僕が二十歳くらいでした」
Ｂ「いわゆる弟子入りですか？」
Ｔ「そう。それもちゃんとした正式な弟子入りですね」
Ｓ「もう、すごく嬉しくて、はじめの一ヶ月くらいはですね、会うたびに何を喋っていいのかわからない。アハハハハ!!」
（二人とも爆笑）
Ｓ「嬉しすぎて。そのわりに、次これやってこいと言われたことを全然やってこないんですよ（爆笑）」
Ｂ「もう、舞い上がり状態？」
Ｓ「どうしようもないですよ！　アハハハハ!!」
Ｔ「で、僕は真矢にはとにかくこれまでの弟子にはないくらい、事細かいことを言おうと思った。それが、真矢流のものになったらすごいドラマーになるなって思っていた。そういう起爆剤を持っていると思ったんですよ。だから、あえて普通のドラマーにはやらせない事もやらせていたみたい。でも、それって体に染み付いていつか爆発するだろうと思っていた。その発火点が３枚目のアルバムでしたね。その時『来た！』と思った」
Ｂ「でも、それまでが大変だったでしょ？」
Ｓ「いえ、もうすごい勉強になって、毎回毎回嬉しかったんですけど、でも、僕が言うのもおかしいんですが、透さんはさすがですよね、言われたことをやってこないじゃないですか、一発でバレるんですよね」
（大爆笑!!）
Ｂ「えっ？　例えばどういうことで」
Ｓ「じゃあ、ダブルストロークやってみようかって言われて、恐る恐るやるじゃないですか『お前練習やってこなかったな』『ハイ!!』って」

ドラムはＤＮＡによって遺伝する！？

（爆笑!!）
Ｂ「なるほど。真矢さんにとって透さんの魅力って？」
Ｓ「スゴク…透さんってドラムも人柄もフランクなところが好き。ことドラムに対しては厳しいですよ。でも、人に対して僕透さんが怒ったところを見たことがない」
Ｂ「昔は違ったみたいですよぉ」
Ｔ「アハハハッ!!　でもね、間口をポーンと広くできるようになったのはポンタさん（村上“ポンタ"秀一）さんに教えてもらいましたね」
Ｂ「なんか伝統を感じますね」
Ｔ「それはある。だってすでにSIAM―SHADEのドラムでジュンジは真矢の弟子ですからね。前ね、それを知らないでCD聴いたことがあって、あれっ？　このスネアのタイイミング知ってるなぁ、でも名前見ても知らないし、いや、この気持ちよさは知ってるぞって、後で真矢の弟子だって事を知ったんですよ」
Ｂ「いやぁ、いい話ですね」
Ｔ「面白いでしょ」
Ｂ「SIAM－SHADEファンにも是非知ってもらいたいことですね。ルーツには透さんがいるということをね」
Ｔ「おじいちゃんがいるよって（笑）。でもカメラに向かった傾向ってみんなあるね。普通ね、大晦日のライブやっていて後ろを振り返ってカメラに『ニコッ！』はないでしょ（笑）。あの明るさはたまんないよね」
Ｓ「ジュンジとかもすごくフランクな人間ですよね」
Ｔ「そうだね」
Ｓ「逆にフランクじゃないと僕はすごく我がままな人間なんで」
Ｂ「ついてこれないね」
Ｓ「アハハハハハ!!」
Ｔ「すでに孫が育ち始めているわけだからね」
Ｂ「そうるファミリーですね」
Ｓ「そうですね」
Ｔ「僕ね、初めて真矢に会って言われた事がすごく印象に残っている。僕のドラムを聴いて何がガツンときたかっていうと、ばーって叩いている時じゃなくて、最後に一発叩いた瞬間に参ったっていっていたんですよ」
Ｓ「なんて音がんだろうって」
Ｂ「シャレじゃなく」
Ｓ「しゃれじゃない（爆笑）。何で人間の体に素直に染み込んでくるんだろうって、すっごい疑問だったです。ドラムって、透さんに会うまで僕ははっきり言って騒音みたいな音を出していて、うるさきゃいいと思っていたんですよ（爆笑）。うるさい存在感があればいいと。でも透さんのドラム聴いて、参りましたって素直に思いましたね。ええ」
Ｂ「それはライブで見て？」
Ｓ「いえ、目の前で。しかも透さんもいつもの笑顔なんですよ。悔しい!!」
（爆笑!!）
Ｂ「余裕でやっている」
Ｓ「そう」
（その時突然真矢さんの愛犬・弁慶くんが「ワンワン！」と鳴きだす）
Ｓ「弁ちゃん、弁ちゃん！」（頭を撫でるとすぐにおとなしくなった）
Ｔ「面白いでしょ、こういう話って。で、真矢の後僕のところに来たボウヤたちも何代も変わってきたんですけど、うちで一つだけ変わってない事があるんだよって真矢に話したことがあるんですよ」
Ｂ「それは何なんですか？」
Ｔ「うちの伝統的な『真矢止め』というのが残っていて、ペダルをガムテープで固定する止め方なんですよ。それは真矢が考案したもので、今も変わってない。だから、ボウヤにいつも『真矢止めしとけ』って言ってるんだけど、ルーツは真矢なんですよ」
Ｓ「ええっ!!　そうなんですか。それ今日の今日まで知りませんでしたよ!!」
（爆笑!!）
Ｂ「歴史を感じますね。逆に透さんから受け継いでいるものというは真矢さんにはあるますか？」
Ｓ「それは、もうすべてですよ。一から十まで教えていただいたわけですから」
Ｔ「一度、真矢と共演したことがあって、周りでマネジャーが笑っているんですよ。だって、とにかく何から何まで一緒。構え方にしても、タイミングもそっくりですからね。受けまくってましたよ」
Ｓ「もう、遺伝子ですね。ＤＮＡですね。ＤはドラムのＤですか」
Ｔ「それいいね（笑）」
Ｓ「それだけ、教えてもらったことが多いんですよ」

実は甘え上手だった真矢

Ｔ「でもね、真矢ってすごくアイディアをいっぱい持っていて、よく聞くんですよ。彼のドラムセットってすごく叩きやすいんですけど、もう真矢に聞きまくり（笑）。だから、先生にはなれないタイプね。性格的に。どっちかっていうと、兄貴タイプ。兄弟がいっぱいいてね。」
Ｓ「普通、師匠だったら夢見たから心配になって電話してくれませんよ。新曲が出ると必ず電話いただきますし。本当に嬉しいですね」
Ｔ「ここ最近の新曲２曲がすごく好きで、真矢のドラムもここで、ひとつ完結しているんですよ。これは勝手な僕の解釈なんですけど、いいですよ今回の新曲は」
Ｓ「僕もいつまでたっても透さんには甘えちゃって､いつまでも子供なんですよ。『LOVE　LOVE』の何年か前のリハーサルの時も、分からない事があるとすぐに透さんにすがって（笑）」
Ｔ「そうそう。また、真矢は聞き方がうまいんだ。真矢最大のピンチ、なんて来るからどうしたのって聞くと簡単なことだったりして。で、分かったとたんにも『なーんだ』だって」
（二人爆笑）
Ｂ「甘え上手なんですね」
Ｔ「ライブの後でも楽屋に挨拶にいくでしょ、で、スギゾウとか普通の話していて、スギゾウがちょっと風邪気味でなんて言うと、すかさず真矢も『俺も頭痛いな』って必ず言いますからね（笑）」
Ｓ「もう甘えん坊なんですよ、アハハハハ。もう、透さんにはかまってもらわないと嫌なんです」
Ｂ「ところで、二人の共通の趣味というのは？」
Ｓ「車ですね。よく透さんに質問してます」
Ｔ「真矢は趣味いいですよ。ジャガーですからね。それに対して師匠が派手好みのポルシェですから（笑）」
Ｓ「でも最近僕もアメ車の四駆を買ったんですけど、パニックボタンというのがあって、それを押すと車が本当にパニックするんですよ（笑）」
Ｂ「どういうことですか？」
Ｓ「いえ、説明書にはボタンを押すとセキュリティーが効くと書いてあるんですが、その場でセキュリティーが効くんですね。とたんにパーホ、パーホって大音響がして大騒ぎですよ」（大爆笑）
Ｔ「だから、さっきもパーホ、パーホが遠ざかっていくわけ」
Ｓ「びっくりしましたよ！」
Ｔ「最初は真矢がテストしてるのかなって思ったんだけど、車内でバタバタし始めたから、これは違うぞって」（爆笑）
Ｓ「ハザードランプからヘッドライトまで、パーホ、パーホですからね」
Ｔ「そのうち縦に跳ねだしたらどうしようかと思っちゃったね」（笑）

レコーディングは意外にコンパクトに

Ｔ「ところで、最近すごくLUNA　SEAのコピーバンドが多いじゃない。だから、真矢の音楽的なことを少し聞きたいんだけど」
Ｓ「意外とドラムのチューニングは張りめです。で、ライブの時はもうこの一曲で死んでもいいくらいなき持ち（笑）ですね」
Ｔ「やっぱりね、そういう言葉って中高生のアマチュアバンドの子達にはすごく励みになると思うよ。心構えとかね。中途半端にやっちゃいけないんだって」
Ｓ「でも、体は楽ですよ。気持ち的には一曲入魂ですけど。透さんに会うまでは体まで辛かったけど。アハハハハッ！」
Ｔ「ドラムってタイミングなんですよ」
Ｓ「タイミングとスピードだってよく言われましたね」
Ｂ「透さんの指摘では、最近変わってきたということなんですが」
Ｓ「音速とか、つまり音の飛ぶ速さですかレスポンス」
Ｂ「音の跳ね返りですか？」
Ｓ「ええ、それとマイクを通した聴感を意識するよになったんですよ。だから、ドスンという音がほしかったら逆に小さいキックを使ってみたり」
Ｔ「これは大きなヒントになると思うよ、皆にとっては。真矢ってでかいイメージがあるじゃないですか、皆そう思っているけどね」
Ｂ「それが、意外と小さい」
Ｓ「レコーディグはですね」
Ｂ「でも、ライブではねぇ」
Ｓ「もう、結構見た目好きですからね（笑）」
Ｔ「今までの曲を網羅して１つのセットでやなくちゃいけないじゃないですかライブって。そういう場合にはどうしてもああいう大きなセットになってしまうんですよね」
Ｂ「でも、意外にレコーディングではコンパクトなセットでやっているということなんですね。これがLUNA　SEAを目指しているバンドにはヒントになるわけですね」
Ｓ「もうタムなんか12が一番大きいですからね」
Ｔ「それってスタジオで僕が使っているセットとまるっきり同じですよ」
Ｓ「アハハハハ!!　そうですよねぇ。それで、三つタムを並べる時は一番左側はちょっと上げろというのは伝統的でして…」
Ｔ「アハハハハ!!」
Ｓ「ちょっと角度がつくのがすごく叩きやすいんですよ。いい具合に手がいくんですよ」

奥さんにとって結婚は二番手だった真矢!?

Ｂ「で、読者にとってもう1つ気になっていることがあるんですよね。皆も知っているモーニング娘とくれば、結婚おめでとうございます!!　で、真矢さんの新婚生活についてもぜひ語ってもらいたいのですが」
Ｓ「はい」
Ｂ「最近では家ではどんな感じなんでしょうか？」
Ｔ「所帯を持ったという話だね。いきなり芸能ワイドショーのりになってきましたよ（笑）」
Ｓ「（笑）そうですね、仕事から帰ってご飯三杯くらい食べて」
Ｂ「けっこう食べますね!!」
Ｓ「僕、すごく食べるんですよ」
Ｔ「僕、真矢に呼んでもらって本人会わせてもらったじゃないですか。普通なんですよ、思いのほか。何がいちばん活躍するって、一番活躍しているのが、この子です（弁慶を指差して）。二人の会話があって、ちょっと間があくときってあるじゃないですか、その時すかさず、『ワン！』て言います」
Ｓ「アハハハハ!!　そうなんですよ」
Ｂ「偉い子ですねぇ」
Ｓ「家でもムードメーカーですね」
Ｔ「すごいムードメーカーなんですよ。だから、真矢の家族の中でいちばん話していて面白いのが弁ちゃん。だから、それほど二人が自然な感じだったから、逆に安心しましたね。兄貴分としてはね」
Ｂ「何か、派手な感じがするんですが」
Ｓ「するでしょ、でも全然そんなことないんですよ。普通です。ご飯もちゃんと作っているし。」
Ｂ「それじゃ、健康管理もすごくよくなって」
Ｓ「ええ、こんなもの食ったことないなんてものが出てきたりして（笑）」
Ｔ「だってね、僕『Love　Love』のとき後ろでドラム叩いていたんですよ。もう、結婚パーティにご招待されて行って、あの感情の中でいちばんパニクってたのは俺じゃないかと思ったもん」
Ｓ「いえ、それでね、面白い話があるんですよ。うちのかみさんって前にバンドやっていたことがあって、一番最初に好きになったドラマーが透さんだった」
Ｔ「マジ!?」
（二人大爆笑）
Ｓ「で、二番目に好きになったのが僕だったんですよ」
（スタッフも全員拍手喝采！）
Ｂ「いやいや、それはスゴイ話です！　が、そろそろ時間となってしまいましたので、この続きは来月のお楽しみということで、またまた予想もできない展開に突入いたします。お見逃しなく!!」
Ｓ「次回もまだまだ続きますよ」
Ｔ「はい！　それではまた来月！　お楽しみに!!」

前回に続いて今回のスペシャルゲストは、ＬＵＮＡ　ＳＥＡのドラムス、真矢くんの登場です。ほかでは絶対に聞くことのできない、僕と真矢の爆笑師弟愛、新婚生活、音楽談義などとっておきの話がオンパレード。そして、真矢くんから嬉しい発表もあります!!

（前号までのダイジェスト）
　～憧れのドラマー、透さんのところへ正式に弟子入りした真矢さん。それにしては、宿題はあまりやってこなかったとか。でも、アイディア・マンの真矢さんが発明したセッティング方法は、今でも「真矢止め」として透ファミリーの伝統として残っていた。これには真矢さんもビックリ。弟子思いというよりも、まるで兄貴のように真矢さんをいつも気にかけている透さん。LUNA　SEAのコンサートで楽屋を訪ねると、必ず甘えてくるのが真矢さんということも暴露。意外に甘えん坊だった真矢さんの素顔が浮き彫りに。　そして、話はプライベートな核心部分。ラブラブな新婚生活へと突入。そこで、また意外な事実が明らかに!?

奥さんの憧れは透さんで真矢は２番手!?

Ｓ「いえ、それでね、面白い話があるんですよ。うちのかみさんって前にバンドやっていたことがあって、一番最初に好きになったドラマーが透さんだった」
Ｔ「マジ!?」
（二人大爆笑）
Ｓ「で、二番目に好きになったのが僕だったんですよ」
（スタッフも全員拍手喝采！）
Ｂ「いやいや、それはスゴイ話です！　もしかしたら、透さんと結婚していたかもしらないわけですね？」
Ｔ「それはないない。絶対にないよ（笑）」
Ｓ「それを聞いて大笑いをして、大変だったんですよ（爆笑）」
Ｂ「すいません、その話って作ってません？」
Ｓ「作ってない､作ってない」
Ｔ「サイコー!!」
Ｂ「それにしても、スゴイ話じゃないですよね」
Ｔ「面白いよねぇ」
Ｓ「面白いでしょ」
Ｂ「いやいや参りました」
Ｔ「今度は是非、ＳＩＡＭ－ＳＡＤＥを聞いてあげてくださいね、読者のみなさん」
Ｓ「あっ、ＳＩＡＭ－ＳＡＤもすきだって言ってましたよ（笑）」
Ｔ「サイコー!!」
Ｓ「いやあ、分かるんでしょうね」
Ｔ「分かるんだよ」
Ｂ「なかなか分かりませんよ、そこまでは」
Ｓ「いえ、音楽を好きな人ってけっこう分かるんじゃないでしょうか」
Ｔ「でも、二人にはタクアンの臭いはないんだよ。それ分かる？」
Ｂ「分かりますね。つまり所帯染みていないということですよね」
Ｔ「そう。二人が立っている感じがね。俺は見ちゃったから言うんだけどね。ごめんね、その雰囲気が最高にいいの。その間を縫って、弁ちゃんが『ワンッ！』てくるわけ（笑）。もう最高だよ！」
Ｂ「最高の幸せ状態というわけですね」
Ｔ「こちらもエネルギーをもらえるんですよ」
Ｂ「楽器とか弾くんですか？　奥様は」
Ｓ「ギターかベースのどちらかをやっていたみたいなんですけど、（楽器は）ころがってますね」
Ｔ「アハハハハッ。そうそう、サックスやトランペットや、色々とやっていたものね。タンポポの時でも僕は後ろでドラム叩いていましたから、よく知ってますよ」
Ｂ「だから、（結婚の話には）びっくりしたでしょうね」
Ｔ「びっくりしたとか、しなかったとかという問題以前に心配しちゃった、まずはね」
Ｓ「ウフフフフッ」
Ｂ「でも、実際に会ってみて…」
Ｔ「安心しちゃいました。（手を叩いて）ブラボーですよ。真矢のお父さんと結婚式で盛り上がったこと」
Ｓ「アハハハハッ」
Ｂ「何をそんなに盛り上がったんですか？」
Ｔ「いや、話には聞いていたけれども、会うのは初めてだから、初めまして状態ですよ。真矢のお兄ちゃんとか、もう人ごとじゃないんだから。何か家族なのね。初めて会ったのにね」

この作品で僕は名刀を持った侍の心境に

Ｔ「で、その話はさておき、今度の新曲について話をしてらいたいんだけど」
Ｓ「なんか、カウントを打つ（録音）前に、すごい、本当に自分の中で納得できるまでやってみようとして、今回はメチャクチャこだわったというか、いっぱい挑戦してみたんですよ。ドラムセットから、シンバル、スネアもいっぱい並べて、で、その中からチョイスして、だいたい一曲に2日は音作りにかけていました。だから、自分ひとりで音作りを事前に納得しておいて、バンドでまた音を合わせて、『ゴメン、もう一回音変えていい？』（笑）なんてことの連続で……。やっぱり、カウントを打っちゃったら、タイコの音もあんまりテイクを重ねていくと死んでいくし、自分のテンションも持たなくなってくるし、だからカウントを打つ前に」
Ｂ「準備段階として」
Ｓ「ええ」
Ｔ「それは、読者の皆さんにもわかり易いように言うと、誰でもそうなんです。僕もそう。最初に音をドーンと出したら、いいところ10テイクですよ。いって10テイク。そこまでいったらスゴイ」
Ｂ「持続できたらということですか？」
Ｔ「そう。真矢がやっていることはすごくいいんです。と、いうのは一生懸命に音を作っていったドラムの音が、曲のコードトーンとぶつかってしまうことってあるんですよ。曲のイメージの音色とヘッドの種類がぶつかったりするんですよ」
Ｂ「かなり専門的な話ですが、つまりせっかく作ったドラムの音と曲のイメージが合わなくなることがある、ということですね」
Ｔ「そうなんです。だから、今回の真矢の気持ちはすごくよくわかる」
Ｓ「で、結局自分がどんなにドカーン！とかダシャーン！とか、でかい音を出しても、マイクでこんなにちっちゃいところで音を拾うんだっていうことに気が付いて、あっ、マイクで拾った音を意識しようという考え方に変わったんです。だから、スピーカーから出る音だとか」
Ｔ「僕がよく言う、マイクのりの音の話ですね。ですね。はい」
Ｓ「はい!　だから耳で聞いて、いくらカーンとすばらしい音がしていても、マイク通すとすごいダサイ音になることってあるんですよね」
Ｔ「ある。がっかりすることってあるよ」
Ｓ「でも、そこまでこだわってやると、もういい刀を持った侍のような気持ちで、ズズッと切っちゃえばいいみたいな」
Ｂ「名刀を持った侍になったわけですね」
Ｓ「叩く前って神経質なんですけど、叩いてしまったら、意外にそんな心境なんですよ」
Ｂ「思い切りがいい」
Ｓ「その方が何か気持ちいいんだろうなって」
Ｔ「意外にそうですよ。僕もそうだし。セッティングしているときは、ピリピリしていて、このマイクじゃなくて､高い方のマイク持ってきてなんてボーヤに言ったりしてね（笑）。で、決まったら『はい行きましょう！』なんて、急にせっかちになったりしてね（笑）。でもね、真矢のドラムスの音なんだけど、今回は違うと思った。それをすごく感じたからそれで質問したわけなんです。」
Ｂ「それだけ、緻密な計算をして完成した音というわけですね」
Ｓ「そうですね。自信を持って満足してますね。それと、昔からドラムの音は名刺代わりになるんだよって、透さんには言われているんですけど、まあ、2、3年前はドラムチューナーさんと言われている人についていてもらったりして、それは時間的には楽だったんですけど、なーんか納得していない自分もいたんですよ。確かに音はいいけど、楽曲に合っているかどうかがいつも疑問だったです」
Ｔ「それって一番大切なことだからね」
Ｓ「それだったら、透さんに言われたように、これが俺のドラムの音だって言うのを完璧に作っちゃおうという感じでやりましたね。今回は」
Ｔ「これで真矢のハンコができたわけですね一個」
Ｂ「その完成した初めての作品になるわけですね」
Ｓ「そうですね」
Ｔ「できれば、読者の皆さんには、前のシンクルと今回のシングルを一気に聞いてもらいたいの。なぜ、そんなことを言うかというと、前回と今回の2枚でストーリーが完結しているんです。僕はそう解釈しているんだけれども。LNUNA　ＳＥＡのファンにも、もう一度そんなことを考えながら聞きなおしてもらいたいと思っているんですよ」
Ｂ「それはまた、音楽の深い聞き方のアドバイスでもありますよね。さて、今後のＬＵＮＡ　ＳＥＡの展開についてもお聞きしたいのですが」

発表！　近々に真矢のドラムス講座を
　歌ＢＯＮで開講します！

Ｓ「今年はツアーです!!　やっぱりですね、透さんの一族はですね。ツアーに行ったら酒を飲む（笑）。当日のリハーサルは二日酔いで臨むと。そういう感じでいきたいと思います（笑）」
Ｔ「もう、移動に間に合わないという時間まで飲んでいたことがありますよ」
Ｓ「ありますねぇ（爆笑）」
Ｂ「けっこう二人ともいける口なんですね」
Ｔ「それが、当時は真矢はそんなに飲めなかったんですよ」
Ｓ「今は、ガンガンいってますけどね。それに、お酒の雰囲気が好きですね」
Ｔ「でもね、お酒の空気ってバラードなんですよ」
Ｓ「おお、なるほど！」
Ｔ「あの感じが分かると、バラードが泣くんですよ。シンバルが泣くんですよ」
Ｂ「何か、言い訳してません？」
Ｔ「いえいえ、とんでもございませーん！　やっぱり､ドラマーはワビサビが分からなくてはいけませんからね。で、アルバムも絶賛発売中です！」
Ｓ「そうなんですよ。ととにかく自分の全てを出し切って、ここまで完成させたアルバムというのは初めてなんですよ」
Ｔ「これって、札幌かどこかへ行っち時に作った作品？」
Ｓ「そうです」
Ｔ「そうだったんだ。いやあ、一ヶ月くらい帰ってこないのなんの」
Ｓ「リズム録りに一ヵ月半。北海道も空気が乾燥していてすごくいいんですよ。ただ、難点が一つだけあって、雨の日はガラッと音が変わってしまうんですよ。だから、雨の日は急きょ曲を変えたりしていました。しっとりとした曲に変えたり、色々やりました。でも、やり尽くしました。ですから社交辞令では叩いてないです」
Ｔ「バリエーションはどれくらい使っているの？」
Ｓ「すごい使いました。スネアー４０個くらい待っていって…」
Ｔ「うわ～っ！」
Ｓ「キック4発、タム10個くらい、シンバル100枚くらい持っていきました。もう、不安なんですよね。だから、あるだけ持っていきました」
Ｔ「いやあ、また読者のみんなはアルバムを聞きたくなったでしょ。また、対談をしようよ」
Ｓ「是非とも。それから透さんには是非とも譜面の見方を教えてもらいたいんです」
Ｔ「読んでたじゃない、『LOVE　LOVE』のときも」
Ｓ「また忘れちゃった！」
（全員大爆笑!!）
Ｓ「何とか音符とかはいいんです。どこからどこまで戻るとか、繰り返すとか」
Ｔ「リピートとかね」
Ｓ「そうです、そうです！（笑）　まったく分からないです」
Ｔ「でも、そんなことを言ってるけど、真矢は火事場の馬鹿力がすごいんですよ。本当は分かっているの。ただ、真っ白い譜面があって、さあ自分でやろうとするとできないだけなんですよ。だったら、こんどは自分の本を出しなさい。それは勉強になるよ。いくらでも助けてあげるから」
Ｂ「歌ＢＯＮでも音楽講座がありますが、どうでしょう、ドラムス講座の開講というのは」
Ｔ「そうそう、ドラムス講座をしようって言ってたんですよね。やろうやろう。だったら、真矢のドラムスのセッティングを解説している音楽専門誌ってどこもないから、まずそこから始めようよ」
Ｓ「そうですね」
Ｔ「じゃあ、僕も全面的に協力しちゃいますから、ぜひ近いうちにやりましょう。ちゃんとした形で真矢の歴史も踏まえてやりましょう」
Ｓ「僕も勉強もしていきたいですし」
Ｔ「ということで、まだＬＵＮＡ　ＳＥＡのフリークになっていない人、騙されたと思って一回見に行きましょう。そうすれば、納得しますから。とにかく一人でも多くの人に見てもらいたいし、僕も楽しみにしています。何か、こういうシメは珍しいです」
Ｓ「アハハハッ、本当に嬉しいです。ありがとうございました！」

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