チャッピー吉井（パロッツ）

「夢は世界へ羽ばたくこと」と語るチャッピー吉井＝東京都港区のアビー・ロードで。

　

　日本人による、ビートルズの完全コピーバンド、「パロッツ」のデビューアルバムが4月25日リリースされることになった。ビートルズの聖地、英・リヴァプールで毎年開催されている「ビートルズ・コンベンション」に、これまで4回の出演を果たし、今や一流外人ミュージシャンらにも知られる実力派だ。
　そのリーダー、チャッピー吉井(45)に、いまなぜビートルズのコピーなのか、その魅力と夢を聞いた。

　写真のとおり、風貌はダイエットに失敗した（？）ジョン・レノン風。しかし、ひとたびリッケン・バッカーのエレキギターを抱え歌いだすと、今は亡きジョン・レノンがよみがえったような錯覚を覚える。
　六本木のライブハウス「アビー・ロード」で毎晩5回のステージをこなす彼らの客席は老若男女問わず常に満席状態だ。パロッツを初めて見る観客は、まず物まねバンドと勘違いして笑いだす。が、曲が進むに連れ、その完璧なコピーに唸り、最後には圧倒され客席は異様な熱気に包まれてしまう。
　ジェフ・ベック、ボン・ジョビ、ＴＯＴＯのスティーブ・ルカサーなど来日の際には必ずパロッツのステージを訪ねるほどだ。
　「ジョン亡き後、ビートルズのライブを見ることはもうできなくなってしまいました。それを再現するのが僕らの役目」と言い切る。
　レコーディング当時は、ライブでの再現が不可能といわれていた、アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」や「アビー・ロード」のＢ面ノンストップのライブも軽々こなしてしまう。レパートリーは200曲を超えている。
　今回のアルバムも、その言葉どおり、ビートルズのデビューアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」全14曲を一曲目の「I Saw Her Standing Ther」から「Twist And Shout」まで、そのままライブ録音で収録した。
　小学3年からビートルズ聞き始め、小学5年でエレキを持って通学していたという根っからのビートルズフリーク。高校卒業後、学習雑誌の営業に身を投じるが、周囲の強い希望で27歳になって再びバンドを結成。神戸、博多を経て10年前から東京で活動を続けてきた。が悩んだ時期もったと言う。
　「ジョンの代役にすぎないのでは、と割り切れない時期もあった。でも、ファンの人たちから、君にしかジョンを伝えられない。と励まされ吹っ切れた。いまの僕があるのは、温かいファンの声援のお陰です」
　今後、ビートルズのアルバム発売順に順次パロッツ版のライブアルバムを収録して
いく予定だという。
　「僕らはビートルズの伝道師。日本から世界に羽ばたきたい」と、夢をふくらませた。

◆プロフィル◆ 　チャッピー吉井（本名・吉井守）１９５５年８月24日神戸市生まれ。23歳でヤマハ主催のポプコン関西地区決勝戦に進出。その後、会社員となり音楽活動を中断。27歳でビートルズコピーバンドを結成。神戸、博多を経て35歳で上京。パロッツを結成。94年、リヴァプールで開催されている「ビートルズ・コンベンション」にアジアのバンドとして初出場。99年、現在の第４期メンバーとして同コンベンションに４回目の出場。キャバーン・クラブなどで演奏し大成功を収める。 ２００１年４月25日、デビューアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー〜ザ・パロッツ・ライブ・アット・アビー・ロード」がリリースされた。同３０日には新宿タワービル屋上で「ゲット・バック・セッション」を再現したライブを敢行。

◆こぼれ話◆ 　ライブ・レコーディングには、私のＰＣが大トラブル（ハードディスクのクラシュ）で残念でならないけれども、行けなかった。本当は、ライブを見て翌日にインタビューしたかったのですが…。でも、彼らのライブは、すでに３回見ているのでお許しを。本文の通り、パロッツのライブはただただ感心です。個人的には、前期の曲よりも中期から後期のライブを聴きたいと思っています。なぜって、ライブで音源が残ってないからです。数年前、Ｐ・マッカートニーの東京ドーム公演を２回見ましたが、その時にポールが演った「アビー・ロード」Ｂ面ノンストップは今でも忘れられない思い出。それを彼らは難なくやってしまいます。一度六本木のライブハウスで体験してみては？　ビートルズ・ファンなら手放しで彼らの演奏が好きになるはずです。それからしばらくの後、ＴＯＴＯのスティーブ・ルカサー、東京ドームでの公演を終えたばかりのボンジョヴィが来店。時ならぬ、大ジャム・セッションが行われた。後日、そのビデオを見せてもらったけれど、圧巻のひとこと！　「ツイスト・アンド・シャウト」「ゲット・バック」の２曲だけだったが、こんなセッションはもう見ることができないだろう。